9戦目

 

苦手な早起きをして、

少しいい化粧水を付けながら顔のマッサージ。

睫毛がダマにならないように、

細心の注意を払いながら

いつもよりも長めに伸ばして、

チークもほんのりピンク色。

準備万端、当社比五割増!

ウキウキしながらバスに乗りこみ

今日もぼちぼちの売上。

御機嫌ルンルンで携帯を弄る上司を見ると

ふと目が合った。

 

 

『今、LINEしとる人がおるんよ。』

 

 上司からの爆弾発言。

 思わず漏れる不細工な声

絶対動揺した目をしてた、

うっすら涙目だったかもしれない。

『だから、LINEしてる人が居るの』

何故それを私に言う必要がある?

このタイミングで?ん?????

動揺はどんどんおっきくなって

漏れる声は弱く震えて。

あー……泣くかも、

耳から目尻が熱くなるのを感じたくらいで

小さく聞こえる上司の笑い声。

『いや、この前ネクタイ送ったお客さんよ?』

何を考えた?

なんて言いそうな

にやにや意地の悪い顔をして。

 

完全に私の好意が尊敬の域を

超えているのには気付いていて。

それでいてあんな言い回しをして、

凄く複雑な気持ちになったけど、

『俺から女の人のところに行くことはないわ』

『何、俺にどうかあったら嫌なん?』

ってにやにやしながら、

話す上司にちょっと安心した。

 

私の好意をぜーんぶ知った上で

家に嫌々だけど泊めてくれたり、

ご飯に行ってくれたり、

写真を撮るときだって、

希望を聞いてくれたりしてたのかぁって

気持ちが伝わってたことがじわじわ嬉しくて。

冗談めかしながらだけど、

いつもよりもしっかり好きを伝えてきました。

 

名前だってさらっと呼び捨てる回数は増えたし

仕事の愚痴も話してくれるようになってきた。

本当はゲロ吐きかけられたいし

踏まれたいし、舐めたいし。

もう1回くらいお家に泊まりたいし、

一緒の布団で寝たりしたいって思うけど、

叶うならまずは

手繋いで歩きたいなぁ。

 

 

あとあと、私が終電まで残業するのは

あなたの力になりたいから。

あんまり為にならない知識かもだけど、

無いよりはマシだろうし。

そっちに行った時に少しでも

スムーズに仕事をこなしたいから。

ここの所もちゃんと伝わってたら嬉しいなぁ。

 

 

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靴がお揃いで嬉しかった🐰🐨